雫
あるトコロに不幸な子が居た
彼は自分がどれだけ不幸か数えた
……片手で足りた……
今度は幸せの数を数えてみた
……片手では足りなくなった……
両の手を使った
…まだ足りなかった
彼は何度も…何度も数えた
何度数えたろう
彼はふと「彼」を見上げる
そこには自分を見つめる自分がいた
その先には月が見えた
それを雲が覆い隠した
すると星がキララと囁いた
「彼」の姿が突如滲む
不幸な子…
彼にとってもっとも不幸な事
気付いたのだろう
「彼」の瞳に落ちた雫は
空の光に負けじと煌めき
大地に広がる「空」に落ち
空に昇って光り始めた